そしてブルーズへの回帰

「まだロックが好き」のつづき

おれはそんなに音楽が好きじゃないのかもしれない

 いとよんどころのない事由によって音楽を聴くことも憚られた。刑務所にはいっていたわけではない。でも、なぁおまえ、ちょっと痩せたんじゃないか……? てなかんじで痩せたかもしれない。おい……ちゃんと食ってるのか? かあさんはどうしてる? 元気してるか? とうさんのことでいじめられてないか? もうすぐここから出られるからな、ってもうなんだかよくわかりませんな。

 

 聴くものがない。そりゃきっと探究心をもっていさえすれば聴くものなんてすぐみつかる。ただなんとなく音楽を聴く気になれなかったのだ。おれはたぶん音楽がそんなに好きなんじゃないとおもう。

 

 で、なんとなく「サカナクションでも聴いてやるかーしかたねー」とおもって聴いた。ベスト盤である。一曲目が新宝島という曲で、これにびびった。めっちゃええやん。とおもった。

 

 おれは血の気のかよった生生しいバンドを好むので、デジタル化された記号のミュージックを牽制していた。サカナクションといえばその代表格であり、さらにたしか山口一郎はレーベルの音楽学校出じゃねぇっけ? なんだよレーベルのパワーで出てきたのかよ。広告費すげーぜ。とおもってちょいとネットを探索してもそういう情報は出てこない。あれはおれの夢だったんか?

 

 まぁええやん、そんなん。って新宝島かっこよかった。おれはやはりディミニッシュやオーギュメントみたいな全三音にこころを打たれる。たぶんこの新宝島もベースがオンコで全三音を引いていて、ゆえにサビがめっちゃ気持ち悪い。そこが悶えるほどにかっこいい。帰宅時に聴いていたのだけれど、この一曲でほとんど時間が潰れた。

 

 そういえば、さいきん星野源のエピソードというアルバムも聴いた。湯気という曲があるのだけれど、この一音目もおそらく全三音のオンコだろう。くっそ気持ち悪い。こういうの流行っているのだろうか。底意なく、まじで好き。

 

 ちなみにおれがオーギュメントと意識したのはバインの風待ちという曲で、サビの二個目にたしか使われている。ここがくっそかっこいい。まじ。田中エロい。まじ。化身。なしくずしの愛ってセリーヌの引用だったと気がつきさらに神感をいだく。余談。

 

 そういうふうな違和のある音階が流行りきったら、こういうのが当たり前になるのだろうか。そしたらまた新しい音の当て方が出てくるのだろうか。おれは西洋音楽に毒されているのでオクターブを十二音階の全体主義をとおしているが、インドでは二十二音階ある、という風説を聴いた。さすがインド人。掛け算得意なだけあるぜ。

 

 きっとおれはそれを音痴だとおもうだろう。微分音階。いやでも、ベンドって微分音階だもんな。はは。かっこつけてベンドと書いた。いつもはふつうにチョーキングといいます。そこに弦楽器のあいまいさがあって、音痴、おれはすげぇ好きだな。

 

 音痴といえばおれはリズム音痴でリズムがうまく読めない。でもバンプのコスモノートというアルバムはいいね。ってモーターサイクル。これむずかしい。ポリリズムでずらしてくる。さらにそのずらしをシンコペーションでメロ入れてくるから余計ややこしい。このアルバムはまじで聴くたびに発見があるからすげぇ。もちろんほかもすごいとおもうよ。ファイアーフライはまだ聴いてないのでアマゾンで発注した。たのしみ。

 

 でもやっぱまっすぐなバンドが好きだ。さいきんオーウェルズというアメリカのバンドと、ヴァントというイギリスのバンドを聴いた。これがもうほんとなんてのてらいもなくてかっこよかった。オーウェルズはさいしょイギリスのバンドだとおもったほど音が湿っていた。けどどこかかろやかな馬鹿ぽっさがあってそこはアメリカンだった。両者ともにパンキッシュでエモ系オルタナ寄りのガレージロック。

 

 チャットモンチーの新しいのを聴こうとおもって未だ聴いていない。未遂に終わっている。そうそう、そういえばはじめてストラッツというバンドを聴いたのだけれどくっそよかった。ボーカルに説得力があるし、ロックの抱くエンタメ性と非商業性の矛盾を「カンケネー」つってエンタメ性にわりふった潔いバンドだった。あとギターもこれじつはめっちゃうまいとおもう。音の繋ぎ方がすんばらしい。ライブ動画もレスポールジュニアの音がこれぞ! という音してた。ひさびさに嵌った。これは改めて日記に書くかもしれない。

 

 ってゆうかこれこそメインブログに書くべき内容なんじゃなかろうか? という疑問もあるけれど、まぁいいじゃない。ってそういうかんじです。だれかなにかいい音楽教えてくれよ。