そしてブルーズへの回帰

「まだロックが好き」のつづき

気になること

 気になること。それはやっぱもちろん家族の健康のことである。息災に生きていてほしい。それだけを願っている。こうして遠く江戸の地で出稼ぎに出ていても、彼らの安息が気になる。それがいちばん気になること。その次がスピーカーの位置である。

 

 昨晩。コンセントタップが吾が家に配達されたので、興がのったのもあり、テレビ裏の配線をちょっといじくった。まぁそれは副次的なものであって、主たる目的はスピーカーの配置であったのである。

 

 なにをどうしてそんなものを買ってしまったのかよくわからぬのだが、5,1チャンネルの、いわゆるサラウンドスピーカーをテレビに付けていた。たしかその頃おれは「みな画質のことばかりを気にし、液晶の質と薄さを競い合っているが、果たして音質についてすこしでも顧慮しているのだろうか、ってゆうのは反語」みたいなことをおもったにちがいない。

 

 ゆれにパイオニアーという株式会社のサウンドスピーカーを購入し、テレビに接続せしめた。むろん音質はよくなった。よくなったのであるが、きたない。きたないってゆうのはテレビ裏の配線である。

 

 スピーカーのケーブルがどうもカオスしすぎているのである。そりゃだってスピーカーが五個もあんだもん。ごちゃるわけだ。これでいちばん困っちゃうのが、吾が家のガンダムであるロボット掃除機くんの「ケーブル巻取り問題」である。

 

 どうしてもそのケーブルは地面に接してしまう。ロングスケールのケーブルなのである。じゃあ切っちゃえばいいじゃんてなものであるが、もしかしたら長いケーブルで使うかもしれないじゃん、とおもって勇気がでない。

 

 それに、吾が書斎におけるスピーカーが暇をしているのである。ぶっちゃけ部屋で音楽を聴くことなど皆無である。ヘッドフォンで聴くしね。だからそのスピーカーが余っちゃっているのである。

 

 吾らがジャパニーズの血の宿命とでも言おうか。もったいない、とおれは思ったのである。だってたぶんというか、確実にパイオニアーのスピーカーよりも優良な製品なのである。

 

 しかも、ほぼ5,1チャンネルで音響を使用することがない。うるせぇし。じゃったら2,1チャンネルでも優良なスピーカーでテレビの音質を高めよう、ってな鬼謀をおもいついちゃったのであるよ。

 

 そういったわけでスピーカーの配線をおこなった。ウーファー兼用のアンプに繋げるだけなので超簡単。やったぜつってソファでテレビを視聴してみると、とてもいい感じなのである。

 

 そんなハッピーで終わるのならば、いちいち日記に書くことも無い。幸せをひけらかすほどの愚かさをもっていない。そういうのはいいんだよ、ほかのひとがやれば。人生訓とか語っちゃえばいいんだよ。かっこいいこと云ってればいいじゃん。

 

 問題はツイーター部分である。いぜんのスピーカーはツイーターが傾斜になっており、リビングでは立っていてもそれほど高音部の印象は変わらなかった。

 

 しかし、今回のスピーカーはオンキョー製で、むろん平面部にツイーターが設備されている。つまり、ソファにすわっていればそれほど高音部に不足はないが、立ってみるともうぜんぜん音が違っちゃうのである。

 

 ここでおれはひとつの解決策を閃いた。それはいわゆる「あきらめる」である。もうあきらめた。べつに途中で立つような番組や映画ならそんなに音質気にしないでしょ、なんつて、もう立ったときの高音域についてはあきらめました。もうどうでもいい。

 

 ただやはり、どうしてもキニナル。おれもバンドマンのはしくれ。音にかんしては一言居士。プライドがあるのである。沽券にかかわるのである。でもしかし、それよりももっと強い吾が精神力、「めんどくせー」がそのキニナル憂さをかき消してゆく。ふはは。世界を一飲みするもの、それは倦怠。悪の華が狂い咲くぜ。