そしてブルーズへの回帰

「まだロックが好き」のつづき

待てど暮らせどぼくの日常は変わらないまんまで

 そりゃそうか。変えようと、してないもんな。なんて歌ってたバンドがいたが、いい歌じゃの。バチョウのネナシグサ。滂沱たる涙をしぼった。日曜はビニールプールをひらいた。すんごい暑かったから。

 

 すると。突然。同年代の子どもが二匹やってきた。雑駁な談笑。たのしいひとときだった。サングラスをしているひとに対して、おれはどこを見て話せばいいのかわからない。茶色の眼鏡は、そんな逡巡する滑稽なおれを反射せしてめていて、二倍かなしい。

 

 昼時。うどんを食っていた。おれたちはうどんを食っていたんだ。はは。なぜ二度書いたのか。サラダうどん。レタス。トマト。ツナ。きゅうり。鶏卵。ごまだれ。開け放たれた窓から一陣の風がとおりすぎていった。ごおぅ、と天空から飛行機の音が舞い落ちてきた。かんじた夏。さ。

 

 こども園の方角から「ハンカチはうすいハンカチーフ地を用意せよ」という矢文が風を切り、頬をかすめたので、ちょっくら買いもん。なんてって、出かけたのさ。今日はそういう語尾でいきましょう。

 

 しかし西松屋というキッズ専門の問屋には、タオル地のハンカチしか販売しておらず、困じ果てておったところ、格安の殿堂という、まがまがしい装飾に塗れたドン・キホーテという問屋には、大量に販売されておったのじゃよ。ほほ。ポケモンとビルドとカーズがプリントされたハンカチーフを購入した。のさ。

 

 その他食料品を数点買い込み、帰宅。車中をとおりぬける風はなまぬるかったが、肌に触れるぐあいはずいぶん心地よかった。バックグラウンドミュージックはジェイミーリデル。塵埃が肌に纏綿として、夕日に厳しさをおぼえた。

 

 夕景。近隣に住まう子どもたちと息子があそんでいた。泥団子。水鉄砲。自転車。補助輪つき。バケツ。シャベル。しゃぼん玉。すべてが橙に染まっていった。

 

 夕飯のビーフシチュー。うまかった。コストコで購入した中落ちカルビーに、赤ワインとすりおろしたまねぎの液を浸透させた。ちなみに今日の朝餉もそうやねん。

 

 三歳児が「ママとけっこんする」と言っていた。「でも、ママはもうパパと結婚してるからなー」と妻が言った。息子は泣いた。なんでやー! つって泣いた。おい三歳児に現実つきつけんな。で、ずっとパパとママとようたくんでいようね、って遁辞していた。二十年後とかもおなじこと言えんのか。

 

 冷涼な夜気がひっそりと満ちていた。アスファルトの冷えたにおいが風にのって寝室まで届いた。今日も終わったな。とおもった。夏の風が吹いた日曜。タオルケットと干した布団のにおい。