そしてブルーズへの回帰

「まだロックが好き」のつづき

あの夏のモラージュ

 土日が黄金の日々だった。「みなさ~ん、わたしはいま、徒労の最果てに来ていま~~~~す!」。リポーター風味。

 わけあって、近所の子どもをあずかることになった。土曜午前。女の子。息子とおなじ三歳児だし、息子と莫逆の友ってかんじなので、「これは逆にふたりでちちくりあってくれたら、おれ、ラクなんじゃねの?」とおもっていた。おためごかし。しかし、予想外のできごとがおこったんだ。それはまるで彗星がものすごいスピードで振ってくるみたいに。

 その彗星は七歳の男児だった。「うちの子もいいすか?」。まぁ問題ない。ノープロブレム。三歳男児と三歳女児のコンビは良好だし、七歳ならソロプレイが可能だ。ほっとこ。つってしかし、三歳男児と七歳男児に強力なデュオを組まれると三歳女児のそんざいが異物のように浮き立ち、そうなるとおれが三歳女児と遊ばなくてはならない。ちなみに三歳女児と七歳男児の組み合わせは相ならなかった。

 そこでおれはテレビに子守をさせることにした。かしこい。しかし三歳男児と七歳男児の猛烈な提案によって「海賊戦隊ゴーカイジャー」をみることになって、そうなるとまた三歳女児は「これこわいから消したい」って言うし、じゃあドラえもんの映画をみる、ってことになるとドラえもんの映画ってけっこうこわくて「これこわいから消す」ってなって、三歳女児はいったいふだん観ているのさ! と訊くと「わんわんのテレビ」。はっはーん。どうぶつ奇想天外かよ。おれは混沌が猖獗を極めるその部屋ですこし悲しみのダンスをおどった。エレジー。

 そうして三歳男児、三歳女児、七歳男児、三十一歳おっさんの午前は短兵急に終わりを告げた。そっからまた午後に三歳男児と三歳男児と六歳男児と二歳男児とわいわいしてもうだめだーってなって夕餉はコンビニでメシを買い、我が家の三歳児はアドレナリンの分泌により午睡をしなかったため八時にねむった。おれも九時半に酒のパワーで前後不覚。気絶した。

 そうそう。おれはデスクを作ったんだ。170×65の長さの天板と、イケアの250円の脚を組み合わせてようやくおれの部屋にデスクができた。まだワトコオイルが臭気をはなっている。妻は「ブルックリンスタイルじゃんwww」と言っていた。なんだブルックリンスタイルって。紐育家。メロンソーダとチリッダッ。

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 近所、といっても車で四半刻ばかり。県道を北に行くと巨大なショッピングモールがある。そこで息子の「光靴」を購入した。あと住宅展示場があってアンケートに答えてスタンプをもらうとバルーンアートとか抽選ができるから「もう家買ったけどな!」つってスタンプだけもらって抽選を楽しんでみた。ラキューとかいう知育玩具(爆笑)のイベントもやっていておれはトリケラさんを作成して持ち帰った。スタバのクリーミーなかき氷を食った。茶葉二倍で。超うまかった。うまかっちゃん

 毎日の暮れる加速度に、おれの精神は置き去りにされているような感覚がある。五年前のこの日は遠い異国の空で、ちょっと引くくらいのリゾートをしていた。それからなにか変わったのか。なにも変わらずに生きているし、なにも変わらずに死ぬのかもしれない。エレジー。また春がやってきて、いつのまにか去るんでしょ?