俺の子にも涙
土曜。ハロウィンの会合を開催しよう、という算段になっていた。近所の子どもをたちを親同伴で近隣の邸宅に召集させるものだった。しかし私は欠席した。子と細君のみで行ってもらった。なぜか。かんぜんに悪い風邪をこじらせたのである。
いやー、死ぬかと思いましたよ。さいしょはね、風邪でもひけば行かなくていいなーっておもってたんです。あまりそういった近所づきあいが得意なほうではないので。でもね、じっさい風邪ひいてみると、ほんと命の危険を感じましたね。ほんとうに生きているってすばらしい。
そうして土曜の昼から翌日の日曜の昼まで寝込んでいたのだけれど、いっさいの食事をしなかった。断食。喉が痛くて食事などとおらない。この喉の痛みをかんじるくらいならこのまま飢餓状態に陥ったってかまわない! と勇を鼓したのである。
なんだか呼吸困難なかんじだった。今回の風邪は。痰がからんで空気の気道が確保できないかんじだった。みんな気をつけて。
日曜。そうして昼すぎに起床した。息子と細君はハロウィンパーティーたのしかったそうだ。よかったね。俺は死にそうだったけどね。独りでね。ほんとうの孤独とは誰かといるときに感じるものなんだよ。
そんな小康状態に鞭打って、かいものにでかけた。外は沛然たる雨。こんなんじゃあ自転車でかいものにはいけない、と妻が言う。だから私が自動車を運転することになったのだ。はやく自動運転が成立してほしい。
たくさん買い物をした。ショッピングモールは蜜柑色と茄子色で彩色されていた。スパイダーマンとかいらっしゃった。とくに感想はない。いつものスーパーのほうが肉類が安い。
息子に「好きな食べ物なぁに?」とたずねた。そしたら「みかん!」だって。かわいい。
「ほかにすきなものなぁにってきいて」と息子がいう。
「じゃあ、ほかに好きなものなぁに?」と聞く。
「うーんとねぇ… パパ!!」
俺は思わず息子を、きつく、つよく、己の感情のままに、抱きしめた。