そしてブルーズへの回帰

「まだロックが好き」のつづき

吹き荒ぶ風の上に茜色の空

 うどんやの釜だよ、まったく。って「うどんやの釜」というフレーズを学問したおれはすぐさま使っちゃいたくなるんですな。意味もなく。自分のそういうとこ少年じみてて好き。

 

 さいきんポリスに嵌った。あのポリスである。アップルミュージックに「おすすめ」として紹介されていたベストを聴いたらやっぱアンディサマーズのギターはかっこよかった。「曲がはじまればずっとおれのギターソロ!」みたいな傲慢なタイプではない、ちょっと身を引きつつも曲の補助的な演奏をするタイプ。ドラクエでいえば僧侶だとおもう。

 

 今日は午前中、保護者参観に参った。なんであいつあんなかわいいんだろ。筋金入りのパパっ子だとおもう。工作をして、体操をいっしょにやった。そしてついに謎のベールに包まれていた体操の先生の正体を暴いた。

 

 さいきんマグナムセイバーを買った。ミニ四駆という或る一定の年齢層に爆発的に流行した、あの爆走兄弟の弟機マグナムセイバーである。みてくれが格好良いわけではないが、なつかしさがこみ上げてくるようなフォルムに、胸の奥からカラフルな思い出が湧きあがってくるのである。

 

 男の子には父親がひつようだなとおもう。ミニ四駆が流行したとき、おれ以外のみんなは父親といっしょになってミニ四駆をやっていたので、付ければそれだけでたちまちスピードが上がるというパーツをあらんばかり豪奢に付けていたし、さまざまなミニ四駆大会に遠征したりしていて、こういう男の子の遊びは父親がイニシアチブを取ることによって盛り上がっていくのだなとかおもい、そういう思い出のないおれはちょっといま悲しいかんじになっている。お金かなんかください。

 

 ようやく名前も決まったので出生届けを提出しに市役所に参った。市役所の対応が最悪だった。めっちゃ丁寧だったのである。おれの理想の市役所というものは、受付窓口が機械的な対応、もしくは人を人ともおもわない見下げた対応をすることによって、こちらに精神的侵害受容をあたえる、するとこっちはこっちで怒りのパワーを、ブログかなんかで吐き出すことにより、かつておなじ思いをいだいたみんなで雷同する。一丸となって「憐れな小役人」とかなんとか言って市役所を糾弾する。

 

 すなわち、ここにひとつの市役所というエンターテインメントが完成する。そのはずだったのである。それがどうですか。えぇ? その一般的な企業のサービスカウンターのような態度は。児童手当のお兄ちゃんなんてのは慇懃すぎるくらいであった。駐車場のじいさんも朗らかなあいさつを放ってくれた。もっと、こう、冷たい空気であれよ。硬くて冷感な、魂のないにんげんであれよ。

 

 こうして世の中にじゅんすけという人間が新たに登録された。日本のために人口を増加させてやったぜ、なんて気持ちは毫末もない。好きで産んだ。妻は乳遣りで寝不足。でも、なにかおれに不都合な身の上が起こったら「おれはこうして子どもを二人も育てているんだ」とかいうおごった態度に出て、世の中を痛罵するつもり。だいじょうぶ、ちゃんとそのつもり。