そしてブルーズへの回帰

「まだロックが好き」のつづき

ドキドキしている

 

 刃のような人生の苦しみからのがれるために、俺は酒をのんでいる。毎日微醺を帯びて眠りにつくのだけれど、昨晩はそうしなかった。

 夜。秋の冷たくて鋭い空気に鼻がいたくなった。そうして帰路についていると、どうやら身体が重い。世界機関による新兵器「グラビティ」の実験による重力場の変動か、と訝ったが、どうやらそうではなく風邪気味なのだ、ということに気がついた。

 だから酒を飲まずに滋養した。あたたかいカモミールティーをのんだ。カモミールはリラックスできる漢方らしい。寝る前に好いそうだ。しかし、俺はその立ち上る薫りがあまり好きではなかった。

 リラックスできる、と言われているものを処方する。しかしそれが科学的に人体反応を施したとしても、魂魄に宿った嗜好性に相反するものであるばあい、これはほんとうにリラックスできるのだろうか。俺はできないとおもう。

 有名な話であるが、ドクターペッパーを毎日三本も飲み続けている、かなりの長寿で有名人な老婆がいるそうだ。その老婆は幾たびにも「ドクターペッパーをひかえなさい」と医者からいわれた。しかしやめなかった。そうして医者はどんどん死んでいく。ババアは生きる。

 ドクペは身体に好くない、とされているらしいが、ストレスはもっと好くない、という事例ではないだろうか。だから健康に好い、とされているものを無理してがんばって処方するよりは、好きなものを好きなだけ摂取したほうがリラックスできると思う。リラックスは癒しだ。

 だから酒を飲もうとおもったが、やめておいた。たしかにリラックスがだいじだ。しかし俺風邪気味、という深層心理が作用し、翌日つらい場合「やっぱのまなきゃよかった」と自分を悔いることになるとおもったからだ。

 そうして本日、どうしてだろうか。身体が重い。秘密結社による破壊兵器「グラビトン」による重力子の活性化か、死ぬのか、と思ったがそうではない。昨晩、飲酒しなかったがために寝つきが悪かったのだ。

 輾転反側。やはりカモミールティーは効果がうすかった。ねむれなかった。毎日昏倒するように眠っていた。酒パワーだ。しかし酩酊して眠るのはこれじつは眠っているでのはなく、気絶している、というはなしを耳にしたことがある。

 しかし、こうして思うのが、酒を飲んでころっと寝るのが身体に悪いのか。それとも眠れぬ夜に寝返りを打ち続けるのが身体に悪いのか。という問題であって、睡眠はなによりもかけがえのない大切なものだ。ってかんじで俺はどう転んでも「酒を飲んだほうが身体に好い」という帰結をしたいみたいです。

 さいきん心臓の波動がつよい。べこんべこん鳴っている。犯罪組織による人体破滅兵器「心臓ベコンベコン」による攻撃か。

今週のお題「私の癒やし」