そしてブルーズへの回帰

「まだロックが好き」のつづき

山荘にいくと必ず殺人事件がおこるので、それを解決しないとスキー・スノボになんて行けない問題

 

 秋の色彩も深みを帯びてきた。冷ややかな空気が滞留しているが、まだ時折、夏のつよい陽射しが降ることもある。おかげんいかがですか? と誰に聞いているのですか。

 この時期になると、とある友人が、「雪山にのぼり、木板にのって均衡を保ち、降雪で摩擦が極力よわくなった斜面を滑走しよう」という提案をしてくるのだが、それには問題点がある。日帰りが困難であり、宿泊をしなければならない、ということである。

 つまり山のうえにある宿に枕を置かねばならぬのだが、山の宿、いわゆる山荘にたいして私がゆいいつもっている知識がある。それは、こういうところではだいたい殺人事件が発生する、ということである。金田一少年の事件簿名探偵コナンでよく枚挙される。

 だから死にたくないから、私はいつも行かない。けっしてスキーやスノボができないわけではない。いまのところ知人に死者はでていないようだが、いつでるかわからない。震えている。

 山の天候はかわりやすい。抜けるような蒼穹からふりそそぐ陽光は、真っ白な地表に乱反射し角膜につき刺さる。左様な天候から急激なコペ転。のばした手の先が見えなくなるような吹雪になることもある。

 暮。地元の珍味佳肴に舌をうち、地元酒造の生酒に唇をぬらす。酒は臓腑に火がともるようなあたたかさをあたえる。付設した温泉施設にからだを癒し、明日の予定をたてていると、「ぎゃー」と絶叫がこだまする。防音施工があまい! とおもいますね。

 人群のすきまから、人間の足がみえる。このばあい、人間だったもの、と言ったほうがただしいのかもしれない。人郡の波を掻き分けると。血で染まったカーペットの上に、ひとりの男性が臥していた。

 それはこの山荘のオーナーであり、今回の「初心者も安心! スキー・スノボを格安で!キャンペーン。いまなら漏れなくやまびこ荘オリジナルキーストラップをプレゼント!」の立案者である。かれの家族知人と思わしき人が滂沱たる紅涙をしぼっている。どうじに怒号がきこえる。「いったいだれがこんなことをしたんだ!」オーナーの胸には一振りの刃がたっていた。

 みんなその場をうごかないで! と言うのは、そういった関係者なのだろう。空気に緊張がはしる。指示があるまでこの部屋をでないでください! という。そんなこといわれたって、俺は全裸なんですがどうすればよいですか? と思いますね。各々不平不満をもらすなか、ひとりちょこまかと出歩く蝶ネクタイの小学生。

 その犯人は意外な人物だった! ってゆうかこういう場合、犯人が意外な人物でなければものがたりがおもしろくならない! スリル! ショック! サスペンス! 外は闇と白が混ざりあう猛烈な吹雪! ホワイトアウト! 閉じ込められた二百人の容疑者! はじまるこの土地独特の奇祭! それは人を人とも思わぬ残酷な儀式をようするものだった! 人質にとられる毛利蘭。交錯する思惑。次々と殺される人間たち。犯行現場に残された猿渡の面。たたりじゃ…。と謎のババアが言う。銃撃戦。カーチェイス。吊橋エフェクトでうまれるロマンス。目にもとまらぬ肉弾戦。宇宙人の襲来。もちろんお色気シーンもあるよ。なんつって爆発する山荘。「らーーーーん!!!」「しんいちーーーー!!!」場面はかわって大きな腕にいだかれる毛利蘭。「しんいち… 来てくれたのね… 最後に会えて… よかっ…た…」もういちど「らーーーーーん!!」

 テレッテレッテレッテレレレー テレッテレッテレッテレレレー テレッテレッテレッテレレレー テーテー 劇場版名探偵コナン! 白銀祭りのニンジャ天狗(サイレントキラー)!

   「犯人は…  俺がぜったいに見つけ出す…   じっちゃんの名にかけて…!」二〇一八年春公開予定。続報を待て…!!うそです。