そしてブルーズへの回帰

「まだロックが好き」のつづき

「好きかも」って卑怯だよな

 昨日から禁酒した。もし今日飲んでしまえばこれはただ「昨日飲まなかった」という事実になってしまうので今日も飲まないつもり。持続的に飲まない。それが禁酒。あたりまえだよ?

 妻が寝てしまったので音楽を聴きながら家事をしていた。ロバートクレイのクリーンなストラトキャスターの音を聴いて、ボンイヴェールを聴いた。耳がさみしいなーとおもっていたら、アップルミュージックのおすすめ欄に、エンジェルズアンドエアウェイブスというのがあって、なんとなく聴いていた。好きかも。とおもった。

 そしたらこの「好きかも」というフレーズが妙に鼻についた。

 「好きかも」イコール「好き」、ではないと思う。この公式は成立しないんじゃないかな。譲歩してニアリーイコール。好きかもノットイコール好き。

 おれのなかで「好きかも」というのは、※「好意はもっている。でもそれって暫定的なものであって、ちょっとまだ自分の本当の気持ちがわからない。もうちょっと時間が経ったらあなたのことが分かるかもしれない。そのときほんとうに好きか嫌いかわかる気がする。今はたぶん好きなの。これはほんとうの気持ち。でもひとってわからないじゃない? それはあなたのことだけじゃなく、私自身についても。おたがいの距離感が醸成されてはじめてやっとわかることだとおもうの。どこかに気持ちのエポックメイキングを置きたいの。ううん、ちがうの。嫌いって言ってるんじゃない。それにこの気持ちが宿命的に冷めてしまうもの。そんなこと言ってない。ただ自分自身の回答に確信がもてないの。だから好きかもしれない」って感じですっごく曖昧模糊な意味だとおもっている。

 でも、いうなれば「好きかも」と口外することはイコール「愛の告白」みたいな感覚はだれしももっているとおもう。

 深田恭子*1うるんだ瞳で「好きかも」なんて言われたらだいたいやばいじゃん。うわっ! まじかよ! こいつおれのこと好きなのかよ! やベー! ってなるじゃん。

 でも「好きかも」ってゆうのは上記の※なわけであって、「これから好きなのかどうか確かめます」ってことじゃんね。こういうばあい後で「いや、好きとは言ってないじゃん」なんて言われておしまいなんだよな。くぅー、小悪魔め。

 でも、って「でも」が多いんですが、やっぱ男なら勘違いしちゃうよなー。そういう意味で「好きかも」って卑怯なんじゃないかしら。

 そうなんだよ。ひとってひとから好意を伝えられたら、そのひとのことをちょっと好きになっちゃうんだよね。でもさ、上記の※のごとく「好きかも」という科白はじっさいもんだい純然たる好意ではないわけであって、「好きかも」と放つことにより相手の出方を窺って脈がない、と判断したばあい、「そっかー、あ、やっぱ好きじゃなかったかも。勘違いすんなよ」なんていうことも出来ちゃったりするわけじゃん。うわ、「好きかも」ってめちゃくちゃヤな科白!

 そんなことを考えていたけど、おれもかつて高校生のときに女性に「好きかも」と言ったことがあることを思い出した。「だからそれをたしかめるために付き合ってほしいんだ」みたいなことを。結果、その女性と付き合ったんだけど、それがうちのあさみさん。いまの妻ですね。

 そんなかんじでくだらないことばかり考えてしまうので酒は飲んだほうが実は健康的だったりするかもしれない。でも、こうやって考えごとをするものけっこう好きかも。

*1:おれが女性とロマンスするときの空想上のスパーリングあいてはだいたい深田恭子