そしてブルーズへの回帰

「まだロックが好き」のつづき

ベストマァッチ!!

 スレイベルが凛と響くと、やはり高音域というのは「ぬけ」て聴こえるのだなァと体感する。爪きりの音やライターの発火音というのは、どんなかまびすしい空気の振動のなかでも、靴の中の小石のように存在を発揮する。

 三歳児のクリスマスプレゼントにいくつかの物品をよういした。ディーバイクという自転車。これはペダルが脱着可能でストライダーのようにもあつかえるものであり、現在は補助輪をつけているが、「いつまでも/つけていられぬ/親と補助輪」なんて句があるように、のちの事態を想定したのちに選定した逸品である。ひじょうによろしい。

 妻の弟方からは、琉球に寓居をかまえているので、パイナップルパークのパイナップルバスなる綿詰めの人形をちょうだいした。かつて何度か妻といった琉球の旅でパイナップルパークにいったことがあるが、たのしかったなぁ、あれ。息子と行きたい。

 そしてもうひとつは、現在テレビ朝日にて絶賛放映中の仮面ライダービルド、その変身ベルトである。三歳児は現在、このベルトに非常に狂乱している。

 昨日、朝起床したら息子はまっさきに居間に駆け下りた。サンタクロースからLINEで「プレゼント用意してあるから」と連絡をうけたらしい。

 そこで上記の三点セットを発見した息子であるが、その様子を映像で記録した。やったぁという喚起の声が愛しい。すべての物品でひとおとりあそんだのだが、そのなかでもビルドの変身ベルトには一種の狂気のような熱を入れている。

 ベルト本体のほかにボトルが二本付属しているのだが、そのボトルをベルト本体の専用カートリッジに差し込むことで、ベルトにあるスピーカーから音声とビートが流れ出す。仮面ライダービルドはそのボトルのくみあわせで変化していくのだが、ボトルというのにも陽と陰があるらしく、むろん陽と陽、陰と陰ではあまりその効果を発揮できず、陰陽の吻合によって互いの効果を発揮できる。

 そしてその陰陽がそろったとき、ベルトからその組み合わせの称揚の声、「ベストマァッチ!!」とおもわず感嘆符を二個つけてしまうほどの雄渾な声がひびく。

 そのベストマッチ、つづくユーロビート、アーユーレディ、鋼のムーンサルトラビットタンク、Yeah!! がずーっと拙宅内にこだましていた。うるせぇのな。図書館に行くときも、買い物にいくときも「携帯する」というのでひじょうに参ったが、ベルト自体が大きく、そのまま階段をのぼったり、框に腰掛けて履物をつけることができない、という判断がなされたため、外部へのもちだしはなんとか阻止することができた。

 しかし、よほど嬉しかったのか、うちにいるときは肌身はなさずもっており、「へんしんだ」とか「やっつけるぞ」とかなんかずっと云っていて、こちらとしてもとてもうれしい。五千円と安価なものではないが、すでにこの喜びだけで減価償却したきがする。これからも息子の気持ちにベストマッチするようなプレゼントを贈呈できたらいいなぁ。f:id:yuasayo1013:20171224110121j:image